韓国語を勉強しているなら、韓国語の本も読んでみたいと思ったことはありませんか?
でもいきなり韓国語の原書を一冊読むのは結構難しく感じますよね。
韓国語の小説やエッセイ初心者は、ベストセラーで翻訳本もあるものがおすすめです。アマゾンなら翻訳本も原書も電子書籍で買うことができ、比べ合せながら読めるので便利ですね。
私が韓国に留学していた当時、翻訳学校にも通っていました。そこで小説をみんなで読み合わせて解釈の答え合わせをしたり、勉強していた経験が今も生きています。
最近で言うと、韓国語の小説でいちばんのおすすめは、『82年生まれ、キム・ジヨン』です。日本でも「K文学」と呼ばれ韓国文学が注目されていますが、そのきっかけともいえる大ベストセラー本なので、とっつきやすいですよ。
この記事では、小説『82年生まれ、キム・ジヨン』についてご紹介しながら、感想や韓国語の勉強方法なども合わせて解説していきます。
おすすめ韓国小説『82年生まれ、キム・ジヨン』作品情報
刊行:2017年
著者:チョ・ナムジュ
韓国で136万部の売り上げを記録し、映画化もされた大ベストセラー。
世界32カ国で翻訳、出版されている。
主人公の女性キム・ジヨンは82年生まれ、33歳。3年前に結婚し、出産とともに仕事を退職して1歳の女の子を育児中。ある日突然、自分の母親や友人が乗り移ったかのように話し振る舞い始めるキム・ジヨンに対し、心配した夫が精神科に相談に行く。
キム・ジヨンの母親や過去の経験、キム・ジヨンに関わるそれぞれの女性の立場やエピソードが描かれている。
1982年に韓国で生まれた女性でいちばん多い名前が「キム・ジヨン」だそうです。そんなありふれた、普通の女性を取り巻く日常を描いた小説です。
<日本語文庫版>
<韓国語原書>
一度は読みたい韓国小説『82年生まれ、キム・ジヨン』感想
文庫本のあとがきで書かれていて衝撃だったのが、本作は、女性の登場人物は全てフルネームが出てくるのですが、男性の登場人物に名前が出てくるのは、キム・ジヨンの夫しか出てこないこと。
頻繁に出てくる男性の象徴ともいえるキム・ジヨンの「弟」にも名前がなかったことは、全く気づきませんでした。それほど、女性が生きる社会についての問題を提起している本作は、心に残る部分が多かったです。
キム・ジヨンがその後どうなったのかは読者が想像するのみです。明るい希望を描ける世の中になって欲しいと感じざるを得ない印象でした。
ちなみに、キム・ジヨンの母親のガッツがとても韓国の女性らしく強くて素敵です。
やりたい仕事につけず男性のために家のことを全てせざるを得なかった時代の女性ですが、それでもコツコツ貯金をして不動産に投資し、家族を支えるなど、芯の強さが韓国の女性らしくてかっこいいです。
韓国小説『82年生まれ、キム・ジヨン』こんな人におすすめ
韓国語を勉強していて、韓国社会について知りたい方、全ての年代の方におすすめします。
冒頭から、読んでいて辛くなるような韓国社会の現実が描写されています。主人公キム・ジヨンの母親世代の苦悩、キム・ジヨン自身の学生時代や就職してからの葛藤。
女性で同じように仕事と育児をしている方も共感の嵐でしょうし、独身女性も思うことが多いでしょう。
女性だけではなく、男性こそ知って欲しい内容も多いです。
ストーリーも読みやすく、翻訳も非常に自然なので、さっと読みやすい小説。ぜひ読んで欲しいです。
韓国語の小説で翻訳を勉強するならこんな読み方がおすすめ
韓国語の書籍を読んでみたいなら、話のわかりやすい本がおすすめです。
『82年生まれ、キム・ジヨン」はベストセラーで、話のあらすじもわかりやすいので、初めて読む韓国語の書籍としてもぴったりでしょう。
原書を読んでいると、当然知らない単語が出てきます。
勉強するために原書を読むなら、最もおすすめなのは、一回目は辞書を引かずに通して読み、2回目は辞書を引きながら読む方法です。
辞書を引かずに単語の意味を想像しながら読み、2回目で意味をしっかりとることで理解が深まりますよ。
辞書を引かなくとも、日本語翻訳本を辞書代わりに、単語や言い回しの訳し方を学ぶと、高度な勉強になり面白いですね。
まとめ
韓国でもベストセラー小説となった『82年生まれ、キム・ジヨン」をご紹介しました。
同じアジア圏の国で、日本と考え方の似ているようで似ていない部分も多い韓国ですが、女性がいかに当然のように社会の中で担わされてきた役割が大きかったか、悩みがどれほど深かったか、考えさせられる小説です。
韓国社会を知る上でも、韓国語の勉強という観点でも、ぜひ一度読んでみて欲しい作品です。